2021年度最初のセミナーは「これからの起業」がテーマ。
新型コロナウィルスで社会が大きく変化したいま、ビジネスを展開するうえで必要な視点はどんなことでしょう。
ハイカルチャーデザイン事務所代表・山中史郎さんと、豊中ビーキャン事務局の株式会社スノーウェイ代表・阪本が、自身を振り返りながら起業や事業を拡大する際のヒントを解説してくれました。
- 東日本大震災で世の中が変わった
- 起業するために大切なこと
- wittコロナの起業で考えるべきことは
- 継続するための環境とは-シェアオフィスsono
東日本大震災で世の中が変わった

2011年の東日本大震災を機に、日本では「地域」「農業」がクローズアップされるようになりました。山中さんにとっても転機だったといいます。
奈良県のオーガニック茶畑での取り組みが評価され、2011年度グッドデザイン賞を受賞した山中さん。
評価されたのは、イメージ作りのためのデザインでなく、農家と消費者の関係性をデザインする姿勢。商品としてのお茶を買うだけでなく、消費者が栽培から参加して農家を支え、繋がる仕組みです。風景迄も支援するというオーナー制度が「これからの農業の形としておもしろい」と評価されました。
デザインの仕事というと、ロゴや名刺やチラシの制作を連想します。けれど山中さんは、前後やまわりとの関係をもとに「これはどんなシーンにあると楽しいのか」「どう使われるのか」をトータルで考える仕事が楽しいといいます。
もともと映画が好きで、20年ほど前に映像関係の仕事で起業。
「一つの形をデザインするより『前後の流れを考える』仕事こそ、僕だからできると思ってる」と言い、映画の概念が根幹にあると事例を交えて話してくれました。
起業するために大切なこと
映画が好きだという山中さん。大手メディアへ就職を希望するもかなわず、渡仏して映画の仕事を目指したこともあったそう。
「フランスで街の人たちに影響を受けた。みんな個性的で、個人が輝いている。自分も有名じゃなくていいから個人として輝きたいと思った」と振り返ります。
一方、阪本は起業したかったものの、何をしたいかがわからず一度就職してから起業しました。
道のりは異なる2人が、起業するために必要なこととして挙げたキーワードは次の2つ。
一つが、日常に「自分で仕事をする」リズム感を持つこと。
月に一回頑張るのでなく、毎日続けられるかどうかが重要。場合によっては「仕事をする」環境を意識して整えるべきだと話します。
もう一つは、ライフワークとライスワークのバランス。
自分がやりたい仕事と、生活していくために必要な仕事という意味です。
大切なのは、この2つのバランス。
自分がしたいことしかやらない、と初めから絞って失敗するケースも多く、仕事のベースができるまでは、ライスワークも大切だと2人。
「はじめは要望に応えることに必死。だんだんズレを感じてストレスを感じることも。そんなときに、ライフワークがあるとライスワークを続けられる」と山中さん。
阪本の「起業すると基本的に土日もない。だからこそ、自分の仕事=ライフワークに近づくのが理想。自分ならではの仕事をしたい」という言葉に、山中さんも「結局、好きじゃないと無理だと思う」と話します。
wittコロナの起業で考えるべきことは
2020、2021年は、新型コロナウィルスの感染拡大で世界が揺れました。
豊中ビーキャンでも、オンライン配信を取り入れるようになり、セミナー後の交流会も現在はお休みしています。
「今の仕事がずっと続くかどうかには、敏感であるべき。コアな部分を大事にしながら変化も恐れずに。今のスキルがほかでも使えるようにするといい」と阪本。
山中さんも「これからの起業では、周りの変化に合わせることが必要。変わらないものもあるし、核となる部分は変えなくていい。ただ『乗っかってみよう』という姿勢は大切」と言います。
商圏に特化したビジネスのニーズはますます高まると考えられます。「そこへ行くからこそ」のローカルな視点もポイントです。
「自分ならではの仕事を見つけるべき。自分の価値を提供して対価を得る。自分だからできる部分をやるといい」と阪本。
「キーワードは一人称」という山中さんは「一人称を大事にしながら仕事をする。自分をもっと出すこと」とアドバイスしてくれました。
コロナ禍で広がった「副業」も、複数の仕事を生業にする「複業」の感覚で考えるといいようです。
「僕は、茶畑のことをやってるけど、農業もデザインの領域だと思うし、次の仕事につながった。いくつかの道を持っていると、それが自分の幅にもなると思う」という話が印象に残りました。
継続するための環境を-シェアオフィスsono
この日のセミナーは、2021年7月にオープンしたシェアオフィスsonoで開催されました。(オンライン配信も同時に)
起業のスタート、継続には自分の仕事のリズム感を作ることは大切。
動きながらどうしたらいいかを考えたり、次のステップや新しい展開へのアイデア出しや頭の整理にも活用したいのが、シェアオフィスです。
シェアオフィスsonoは蛍池駅からすぐ。会員制で、個室ブース、テーブル、カウンター、キッチンが併設され、毎日16時半から雑談タイムがあるのが特長です。会員同士の交流が次のアイデアやヒントを生み出す機会になれば、と考えられています。
これからの起業では、スキルだけでなく「アイデア」も重要。さらに、動くことで「自分にしかできないこと」を見つけられるかもしれません。
だからこそ、仕事に没頭できて、なおかつ仲間と交流しながらアイデアを磨けるようなシェアオフィスは、これからの起業を助けてくれるような気がしました。
当日の内容は下記URLもしくはQRコードよりご視聴いただけます。
