⑧自分とトコトン向き合う120分 ビジネスプランの材料を「見える化」しよう!【開催レポート】

コロナ禍で、生活様式とともに消費スタイルも大きく変わりました。起業を考えている人も新しい事業を始めたい人も、不安を感じることが多いのではないでしょうか。

自分の事業をどう進めるか、ビジネスプランをつくるための「材料の見える化」は大切です。

事業計画作りにも役立つ「材料の見える化」について、豊中商工会議所事務局長兼中小企業相談所長・吉田哲平さんが、わかりやすく解説してくれました。

事業計画は必要。ただし…

事業計画書といっても「作ったことがない」という事業所もあり、計画がなくてもビジネスが進むことはあるでしょう。けれど「事業をどの方向へ進めていくか」を計画したものは、ビジネスの成長を考えるうえで大切な羅針盤。

吉田さんも「いつでも立ち戻れる軸を確認しておくためにも大切」と、今回は「事業計画書を作るためのネタ出し」を目的に、その方法を解説してくれました。

何千件もの事業所からの相談を通して「事業計画を作りたいと言いながら、なんの材料もないまま相談にこられる人もいる」と、一番重要な「材料」とは、その人の中にある「こと」だと言う吉田さん。

掲げたキーワードは「我が事かどうか」です。

自分が本当にやりたい仕事かどうか、楽しめるのか、を意識しながら「材料」の書き出しを参加者全員が手を動かしていきました。

ネタは自分の中に。自分の言葉を書くべき

事業計画書もそのためのネタ出しでも、会社や組織でなく「自分」にフォーカスするべき。

事業計画では「どんなビジネスを」「どこで」「誰が・誰のために」「いつやるのか」などを書くことが求められますが、吉田さんは「それらを書く前に大事なことがある」といいます。

「なぜその事業をするのか、というあなたの動機です。なんのために存在するのか、どんな自己実現のためにやるのか、自分の原体験・経験や経歴を振り返りながら考えるべき。あなたじゃなきゃいけない理由があるはず」

自分を振り返る作業は、書きづらさを感じることがあるかもしれません。それでも「自分の心の中から出てきた言葉」は、情熱と連動しているからこそ納得もされやすい。周りの人たちからビジネスを応援してもらえるかどうかも「自分のこと」を見える化できているかどうかに左右されるのです。

「時間をかけてでも、自分で言葉を見つけ出す作業をしてほしい」と「我が事」で考えることが大切です。

弱みや苦手も自覚。ブラックなエンジンも大切

長く、事業所からの経営相談を受けてきた吉田さんが、最近特に大事だと感じることが「自分の弱みや苦手なことをしっているかどうか」だそう。

「今は、いろんな人と出会えたり、ネットを使って仕事を依頼できる仕組みもある。自分の苦手なことや弱い部分は、そこを手放すのも一つの方法。そのために、弱みも『見える化』するといいでしょう」

自分の強みにしっかりフォーカスするためにも、弱みを把握しておくことが大切とのこと。

参加者が関心を持ったことのなかには、「ホワイトエンジンとブラックエンジン」の話がありました。

「そのビジネスでやり遂げたいこと」をホワイトエンジンと呼ぶなら「そのビジネスで、自分はこうなりたい」という「実は私は…」という動機が、ブラックエンジンです。

ホワイトエンジンは、どんな夢を叶えたいか、どんな課題を解決するビジネスなのかという、人への説明に必要となる事柄です。自分の本音というブラックエンジンを書き出すことは「それこそ、最高の『我が事』。事業の継続では大事になる場合もあり、周りの反応は気にせずに大事にするべき」という言葉が印象的でした。

融資のためや補助金申請のためなど、事業計画書が必要なシーンはさまざま。セミナーのなかで吉田さんは「我が事で考える」「自分の言葉で」と繰り返していました。

「今日書き出したことは、皆さんの中からしか出てこないことばかり。自分が理解できているか、熱量を説明できるか。それができてこそ、応援してくれる人がいる。時間がかかっても、しっかり書き出して次のステップへ進んでほしい」とエールを送ってくれました。

■今年度の豊中ビーキャンはこれにて終了ですが、皆さんのビジネスはこれからも続きます。

ビーキャンでの時間が、少しでもお役に立てたら嬉しく思います。一年間、ありがとうございました。

当日の内容は下記URLもしくはQRコードよりご視聴いただけます。

https://youtu.be/f6k5Tdzrw3I