②新しいお店のあり方、走る専門店を考える【開催レポート】

ビジネスを展開する上での課題を知り、自ら考える「TOYONAKA BUSINESS UP CAMP!(豊中ビーキャン)」。

第2回セミナーは「新しいお店のあり方、走る専門店を考える」をテーマにしたクロストークです。2020年8月17日~9月6日に豊中市が実施した、市民生活の利便性向上を目的としたキッチンカー出店の社会実験について、ゲストの体験をお聞きしました。

会場とオンラインで参加いただいた17名の皆さんには「withコロナ」「afterコロナ」における今後のビジネス展開を考える機会となったようです。

ゲストは、公共スペースを活用したモビリティビジネスを提案する株式会社Mellowの西真田(にしまた)寛人さん、豊中の名店「クッチーナサカイ」の笠井宏之さん、豊中市都市経営部創造改革課の上野正彦さんの3名です。

Mellowは、ビルや土地のオーナーとキッチンカー運営事業者をマッチングする「SHOP STOP」を運営。2020年6月には豊中市と、地域の活性化や災害時の市民生活の確保を目的とした包括連携協定を締結しました。

モビリティビジネスの可能性や課題、事業の継続性や地域での役割について、3氏がそれぞれの立場から、貴重な経験をお話してくださいました。

お客さんと会うことが気付きに。社会的役割を実感

豊中市内で35年イタリア料理店を営む笠井さん(クッチーナカサイ)。旅行が好きで、世界の料理や表現を日本人に合うスタイルにできないか、日々考えているといいます。

アメリカへ旅行したとき「フードトラック」が人々の生活の一部となっていることに気付き、日本でも、キッチンカーを使った事業ができないかと考えていたこともあり、今回の社会実験に参加しました。

いつもの店舗では当たり前の「シェフとお客さん」の関係が、キッチンカーでは「人対人」という近い距離になったと話す笠井さん。「また買いに来ます!」「店はどこにあるの?」などのやりとりには、ワクワク感ややりがいを感じたそう。

社会実験では、決まった場所へ決まった日に出店していたことから、地域でその存在も認知されていき、日を追うごとにお客さんとのやり取りも増えていきました。

「コロナ禍で、外出機会が減り、日常に制限ができた。そこへレストランの料理をテイクアウトできる場所が徒歩圏内にできたことを、皆さんが喜んでくれました。社会的役割があると体感した」と話します。

キッチンカーが家事負担の軽減に

Mellowの西真田さんは、これまで実施してきた東京や大阪のビジネス街でのキッチンカー出店とは異なる様子があった、と振り返ります。

「ビジネス街では、近くで働く人が昼の時間に集中して一人1個買っていく。その場合は、客単価をあげることが課題だった。豊中市の住宅街では、約75%の人が複数個数を買っていく。家族の分も買おう、夜ごはんに買おう、とキッチンカー出店が『家事負担の軽減』に繋がっていると感じた」と話します。

地域経済にも貢献できる仕組みづくり

豊中市都市経営部創造改革課の上野さんは、豊中市内の事業者が豊中市の食材を使って出店をしたことで「地域経済にも貢献できたのではないか」といいます。

イベントでよく見るキッチンカーですが、「このエリアの住民に利用してもらう」とターゲットを設定したことで目的も明確になり、地域の理解も早い段階で得られたようです。

キッチンカーの住宅エリアへの出店には、生活利便性の向上はもちろん、住民と店との関係づくりにも可能性があることがわかりました。今後も豊中市では、出店場所を増やしながら継続させることを計画しており、地域の新しい産業として育てていきたいと話していました。

移動する専門店としての事業展開も

Mellowが運営する「SHOP STOP」には、移動する専門店という意味も込められています。

「これまで『そこへ行く』が当たり前だった。これからは『店が移動する』スタイルも、街の新しい魅力を創出するのではないか」と西真田さん。「ビジネスが継続できるかがポイント。人々の生活にどう貢献できるのかを見極めることが重要」だといいます。

人口減少など新たな課題が出てくるなかにおいては、笠井さんのように固定店のありかたを考える店舗や企業も増えるかもしれません。

「デリバリーとは異なる『効率的な部分』を追求していきたい」という西真田さんの話に、飲食以外の分野にもSHOPSTOP事業の可能性があると感じたお話でした。