第2回グループでのビジネスの失敗【2022開催レポート】

第2回豊中ビーキャンは「グループでのビジネスの失敗」をテーマに、ネクストグロウの3人が登壇しました。

ネクストグロウは、とよなか起業チャレンジセンターに入居していたメンバーで作ったチームです。ウェブ制作事業、セミナー事業、ポータルサイト運営事業を連携して行うことを目的に2013年に集まり、現在に至ります。

ネクストグロウのメンバーは

ネクストグロウは「個人」が連携して事業を行うチームで、3人で構成しています。

アクセルブーン・中池秀夫

2010年にアクセルブーンを設立。ウェブサイトの制作ソフトや製造業向けの業務システムを管理するソフトの制作・販売をしていました。ホームページに関する業務や、とよなか起業チャレンジセンターの入居者の依頼で「職業性ストレスチェックマークシート自動入力システム」などシステムの開発をしたり、地域情報や企業の目的に沿ったWEBサイト制作を行っています。

2016年に『豊中こどもプログラミング教室』を開設。ロボットとゲームづくりを通してプログラミングを学べる場を開き、小学生~高校生・20代、幅広い層が通っています。

メッセージオフィスfuwari・五宝美奈子

2010年に起業し、取材・ヒアリングから文章を作成。起業当初は、伝えたい人への気持ちを文章にして手のひらサイズの豆本にまとめていましたが、地域や人への取材が増え、自然と文章作成がメインの事業になりました。

2013年、ネクストグロウのメンバーに知り合ったのを機に、作成した文章を紙だけでなくウェブサイトでアウトプットする機会が増え、現在は地元・茨木市の情報を発信するメディアも運営しています。

株式会社スノーウェイ・阪本崇

2006年、価格コムに入社してフォートラベルという旅行系のベンチャーで7年経験を重ねました。価格コムが食べログをスタートさせる始める時期で、営業するために売るモノを作るところから始まり、エンジニアアチームと一緒に新しいサービスを考えていきました。

営業だけでなくシステムについても経験を重ねていましたが、2011年の東日本大震災を機に、帰阪。「スノーウェイ」を事業に、と独立しました。起業後すぐは厳しい経営でしたが、中池さんから声をかけてもらって、ネクストグロウをスタート。だんだんと仕事の幅が広がっていきました。

スノーウェイは、スキー場の口コミサイトからスタートして、現在はユーザーが滑走を記録できるアプリのサービスも提供しています。また、このコワーキングスペースsonoも運営。WEB制作、WEBコンサルティング、WEB広告、マス広告、新規事業支援が今の仕事です。

3人が起業したときのことやチームを組んでからのこと、経験を重ねながら感じていることをざっくばらんに話していきます。

独立したてのころの苦労や失敗は?

中池 「僕は、勤めていたころに副業でやっていたことの延長で独立。スムーズだった部分がある反面、簡単にできると考えたところもありました」

五宝 「自分に何ができるかわかっていなかったかも。阪本さんも中池さんも、しっかり自分のビジネスができている人だと思っていたので、ネクストグロウに私が入っていいのかなと思っていました」

阪本 「独立したてのころは、全然食べていけなくて金銭面も苦労していました。もともとスノーウェイをしていたけれど、順調ではなかったと思います」

とよなか起業チャレンジセンターのこと

阪本 「今は岡町に移転している『とよなか起業チャレンジセンター』に3人とも入居していました」

中池 「僕がチャレンジセンターに入ったのは、仕事をする場所がほしかったから。入居してみたら、チャレンジセンターのスタッフはもちろん、入居者と繋がることもできました。その繋がりが仕事に発展していくこともありましたね」

阪本 「僕も、場所がほしくて。出会いとかは望んでいなかったし、生活していかなければと必死。人と関わっていられないと考えていまいた。手ごたえを感じ始めたのは、ネクストグロウを始めたあと」

中池 「僕も、そう。頼るというのは違うけど、一人じゃないから大丈夫という感覚を持てた。自分が経験していなかったことにもトライしたし、自分ではできない部分を頼めた。金銭のやりとりもなくて、いろんな経験ができました」

阪本 「個人でうまくいってたからグループを組んだ、ということではなかったですね」

なぜグループでやろうと?

中池 「当時、僕は阪本さん、五宝さんそれぞれと繋がっていました。『一緒にやれたらいいよね』と、それぞれとしゃべっていたので、声をかけました。互いの得意分野が違っていたのが、声をかけた理由。阪本さんはポータルサイトを運営していて、僕にはできない。五宝さんは文章を作っていた。集まったらいいんじゃないかなと」

阪本 「それぞれの特徴を活かして仕事に繋がれば、とスタート。展示会にも出たし、セミナーもしましたね。最初は、安い金額でセミナー付でウェブサイトを作ったり。値決めに自信がなかったですね」

中池 「それでも、ネクストグロウをきっかけに仕事の幅は広がった。なんでもできるなあと思えたり」

グループでの失敗は?

阪本 「グループの失敗って、どうですか?」

中池 「お客さんのウェブサーバーの引越し。慣れている仕事だったのですが、やり方が違って大変だったということもありました」

阪本 「その失敗から、自分のなかでやれる範囲が見えてきた気がします。それまでは、なんでもやりますって言ってきたので」

五宝 「ネクストグロウが走り出したころに、それぞれの思いがうまくかみ合わないことはあったと思う。向かう方向は同じだけど、やり方や仕事への思いはそれぞれで」

中池 「距離感は大切だなと思う。いまも、別の人と仕事をするときにはそこをどうするか考えるし、ネクストグロウで学べたと思う」

阪本 「必死だったのもあったかも。いま、sonoを山中さん(豊中ビーキャン2022年第1回ゲスト)と一緒に運営しているけど、そこまでズレがない。ネクストグロウのスタート時は、自分のビジネスも落ち着かなくて、これをしていていいのかと思うこともありましたね。外注関係だったら違ったかもしれないけれど、それだとネクストグロウは続いていなかったかも」

中池 「フラットな関係があったのは、良かったと思います」

阪本 「違う業種の人とやるのもおもしろいですね」

グループでやってよかった点は?

阪本 「グループだと、相談がしやすいと感じました」

中池 「マインドが近いというか。これじゃだめだなとか、自分の甘さを感じて自分を律することができる。立場が一緒だから話が通じますよね」

阪本 「今も解散はしてないし活動中止もしてないけど、ネクストグロウが、僕らそれぞれのビジネスを安定させるきっかけになった。僕は、自分の仕事の幅が広がった。できることとできないことがわかって、できることを伸ばしていこうと考えられました」

中池 「仕事の受け方や組み立て方をいろいろ経験できた。プログラミング教室は、ネクストグロウと直接関係ないけれど、ネクストグロウでの経験がなかったら、また違っただろうと思っています。

五宝 「ネクストグロウに関わっていなかったらできなかったことはありますね。『こういうことをしたい』と言ったときに、2人はそれを助けてくれた。私はコツコツ頑張れるタイプじゃないけれど、今も続けていられるのは、2人にやってもらった、ということが自分の中で大きい。大きな困りごとも相談させてもらえるし」

阪本 「今の仕事に至るまでに乗り越えたことや、ゼロからの過程でやっておいたらよかったことなど、ありますか?」

五宝 「転んだときに、そこでやめたら失敗で、続けていけば通過点だなと思っています。『100%整ったら起業しよう』でなくてもいいのかな。ちょっと背伸びしたら手が届くなと思ったら、トライしたらいいと思う」

中池 「プログラミング教室は、とよなか起業チャレンジセンターで『子ども向けにロボットやプログラミングのことを教えてもらえないか』と言われたのがきっかけだった。そこで出会った親子に教室はないか聞かれて、教室をやろうと思いました。まわりに背中を押してもらったような感じです」

阪本 「生徒の募集はどうやって?」

中池 「小学校に許可を取って、門を出たところでチラシを配布した。もともとの事業があるから、気持ちに余裕も持てたのがよかった」

頑張れる時がくる

阪本 「ネクストグロウも、ある大きな案件をきっかけに、思い切った提案をしたことがありました。どこまで仕事としてやるのか迷いながらも、いい経験になったのでは」

中池 「一人親方だから、いくらでも働けました」

阪本 「仕事も価格も頑張れるときがくるんだなと思いました」

中池 「受けるまでの段階や、最初の打ち合わせを乗り切れたら、できますね。お客さんが一番心配するのは、納期。できるなと思った仕事は手を挙げたほうがいいと思うけれど、納期も大事」

阪本 「僕も、納期ギリギリで『できない』と言われて焦ったことがあります。値切ってしまうことがあるので、納期を守ってと言いづらいけれど。納品するその先にお客さんがいることもありますよね」

五宝 「継続的にやりとりしているお客さんとは、コミュニケーションが取れているので、困ったときも相談しやすいと感じます。業務が始まる前に、お客さんとしっかり打ち合わせするようにすると仕事も進めやすい」

阪本 「クオリティがわかりづらい難しさもありますよね」

五宝 「終わりがない部分はあります。そういうときに『あなただからお願いする』と発注されていると信頼関係もできていて、やりやすい。なあなあになってもいけないけれど、互いが求めているものがわかりあえていると、やりがいがあります」

阪本 「こちらを理解して発注してくださると、やりとりしやすい。信頼をもらっていると『いいかんじでやって』と、お願いしてもらえますね」

マネタイズと満足してもらえるサービス

阪本 「あと、サービスをどうお金に変換するかを考えるのは重要だと思います。例えば、メルカリ。ユーザーが売り買いすることで手数料が入ってくるでしょ。お金に変わるポイントを考えておくのは大切。提供するサービスへの値付けは難しい。去年のビーキャンで『原価から積み上げると正確な値決めにならない』という講師の方の話が印象に残っています」

中池 「プログラミング教室の月謝は、正直そんなに安くない。本心は、安くしたい気持ちもあります。でも、そのおかげで思い切ったことを提供できている。3DプリンターやAIロボットの導入など、生徒さんへより良いサービスを提案できるので、安く設定しなくて良かったですね」

まとめ

阪本 「ネクストグロウをやっていって、うまくビジネスができるようになったのは、発注する側への不安を取り除けたから。起業してすぐなら、納期はこれぐらいで過去にこんなものを納品した、と実績をアピールしたほうがいい。ネクストグロウのスタート時に安くして受けた仕事もありますが、それらは事例として紹介できているので、それも必要だったかもしれない。僕らも失敗から学んできましたね」

中池 「いろんなことやってみないといけないと思う。安すぎるとか高いとかもわからないし結果的に失敗になるかもしれないけれど、やってみると実績にはなります」

五宝 「やってみないと、それが向いてるのかどうかがわかる。やってみたらいいですよね」

阪本 「今日はありがとうございました。皆さんのなかでなにか参考になることがあればと思います」

当日の内容は下記URLもしくはQRコードよりご視聴いただけます。
https://youtu.be/OpGx0oqB9sM