2021年9月からスタートした2021年度豊中ビジネスアップキャンプ(豊中ビーキャン)もいよいよ最後のセミナーとなりました。
今回のセミナーは2部制。
前半は「これからの、展示会・見本市の使い方」がテーマ。
後半は、2021年度の豊中ビーキャンについて、簡単な振り返りを行いました。
これからの、展示会・見本市の使い方

コロナ禍の影響で、ビジネス拡大の機会となる展示会や見本市も大きく形態が変わりました。オンライン開催を取り入れた展示会も増えています。
今回は、食品・飼料原料の輸入販売、食品の企画・開発を行うリンクフード株式会社の樋口徹さんに「これからの、展示会・見本市の使い方」について、お話いただきました。
展示会を、見に行く側と出展する側。双方の立場から、展示会の有効活用術を具体的に紹介してくださいました。
展示会のスタイルはさまざま
以前は、出展企業が会場にブースを構えて来場者を迎える、いわゆる「リアルの展示会」が一般的でした。
コロナ禍により、現在は「リアルの展示会」「オンライン開催と必要に応じて商談を行う展示会」「オンライン開催」など、展示会・見本市のスタイルも多様化しています。
「完全にオンラインで開催する展示会も増えていますが、まだ試験的なものも多い。出展費用が無料の展示会もありますが、オンラインは実情が見えにくい点もある」と樋口さん。
「費用が抑えられる」という理由だけで出展すると、効果は出にくく、時間を費やしただけに終わることもあるようです。
樋口さんがこれまでに展示会へ出かけたり、出展した経験から「展示会の攻略方法」を紹介してくださいました。
展示会へ出かけるときは
「展示会は見に行く立場でも『目的を持つことと準備』が大事」と樋口さん。「当日、訪問するブース」を事前に決めておくと、有効活用できるそう。
展示会では、事前にWEBページで情報が開示されていることが多く、関心のあるブースをチェックできます。目的や課題に合うキーワードで検索すれば、関連ブースが表示されるので、活用すべき。展示会によっては、事前に商談のアポイントを入れることも可能です。
樋口さんは「ここは絶対に行く」というブースを事前に決め、あまった時間で他のブースを訪ねるようにしているそう。
「その展示会でのテーマや課題を明確にしておくと、気付きや接点がある」
全ブースを回れないからこそ、下調べは重要なのだとか。
「起業の翌年に、植物性たんぱくのサプライヤーを探そうと出かけた展示会で、複数の会社と出会いました。2年経ってビジネスに繋がったこともあります」
目的を持って出かければ、効率よくブースを訪問できるようです。
展示会へ出展するときは
出展者として展示会に参加する場合は、準備段階からコンセプトをしっかり確認して進めること。
「訪問するバイヤーの視点で考えるといい」と樋口さん。
展示会へ出かけてブースを回ってきた経験も、ここで生かされるようです。
出展するときのポイントは、次の3点。
- ターゲットを明確にする(誰に向けての展示か)
- 明確な目的・目標の設定(どんなお客さんと会いたいか、名刺○○枚交換など具体的に)
- 事前のアポイントを取っておく(オンライン活用で、ますます重要に)
展示会のWEBサイトで、情報が開示される場合は、ターゲットとなりうる企業と事前に接点を持つことも可能です。事前アポがあることも、展示会での充実度を左右するそう。
既存の取引先が展示会に来て、さらにビジネスが広がる可能性も。既存のお客さんを招待しておく方法も有効です。
「その展示会のWEBサイトに掲載する情報では、どんなキーワードで登録するのかは重要。自社の強みなど、キーワードはしっかり打ち出すべき」
リンクフードでは、食品や輸出のほか、植物性の肉、大豆ミートやヴィーガン、ベジタリアンなどの具体的なキーワードで登録することが多いそう。
「しっかり準備しておけば、たとえブースの場所が端っこでも、お客さんは来てくれます」
展示会を通してお客さんとのコンタクトは続きます。準備段階から、しっかり整えておくことが展示会の有効活用につながるようです。
出展後のアフターフォローもしっかりと
展示会では、アフターフォローも重要です。
「ビジネスに繋がるかどうかは、出会った後にかかっている」と樋口さん。
リンクフードではどのようなフォローをしているのか、紹介してくださいました。
来場者の整理
出展の目的やターゲットなど、展示会ごとに基準を設けて選別。
商談に繋がるのか、時間をかけてフォローしていくのかなどを判断していきます。
商談カードの活用
展示ブースには、商談カードを用意。どんな話をしたのか、来場者からの要望など具体的に記入して、名刺と一緒に保存し、リスト化します。
名刺はデータ化(アプリも活用)
名刺は、アプリを使って画像で保存。エクセルでコメントの内容なども打ち込めて便利です。
多くの来場者と出会う展示会では、スピーディなリスト化が大切。その後の商談がスムーズに進むよう整理しておきましょう。
展示会の選び方は
展示会では、出展者同士の横のつながりも生まれるメリットも。
「出展者さん同士は競合になることもありますが、協働で仕事ができる場合もあります」
では、自社に合う展示会はどう探していくといいのでしょうか。
「来場予定者数や展示会の規模をチェックします。来場者層も知っておくとイメージしやすい。
私が扱う『食品』でも、外食なのか素材なのか、と切り口はさまざま。どこに向けた展示会なのかを見極めるべき」
リンクフードでも以前、介護食に関連する商材を案内しようと、介護関連の展示会に出展したそう。
さまざまな介護サービスのブースのなかで「食品」を提案しましたが、来場者とのマッチは難しかったといいます。それでも「差別化ができる」と、新しい視点にも気付き、いい経験になったと振り返ります。
「ターゲットと一致しない展示会でも、それが一概に悪いとはいえない」という話が印象的でした。
規模の大小よりも、どのような展示会なのかを見極めることが大切なようです。
展示会の情報は、主催する新聞社や出版社、行政や商工会議所などのメルマガで情報を積極的に取りにいくという樋口さん。「地域にターゲットを絞るなら、行政の情報発信も有効」だそうです。
樋口さんの具体的なお話に、会場の皆さんも、真剣に耳を傾けていました。展示会で自社サービス・商品を発信するためにも、アンテナを張って、情報をつかむことが重要だと改めて感じました。 樋口さん、ありがとうございました。
豊中ビーキャン2021の振り返り
今回のセミナーで2021年度の豊中ビジネスアップキャンプのメニューは終了となりました。
全6回のセミナーを事務局・阪本が振り返りながら、まとめのお話をさせていただきました。
Vol.1 これからの、起業について
1回目のゲストは、ハイカルチャーの山中史郎さん。
「ライフワークとライスワーク」「仕事をするというリズム感」とバランスが大切だという話が出ました。
「一人称で仕事をする」のが、起業ということだと思います。
Vol.2 これからの、公的支援機関の使い方について
2回目は、豊中商工会議所の吉田哲平さんに公的支援機関について解説していただきました。
事業資金や事業計画についてのお話でしたが、大切なのは「なぜその事業を自分がするのか」ということ。
計画書の根本は「なぜするのか」という、本人にしか書き出すことのできない思いだ、というお話でした。
Vol.3 これからの、WEB制作会社との付き合い方起業について
3回目のゲストはプログラミング教室を運営する中池秀夫さん。
SNSでもホームページでも「それを使って何をしたいのか」を考えることから始めるべき、という話でした。無料で使えるWEBサービスもあり、すぐ始められることから手を動かしてみてはいかがでしょう。
Vol.4 これからの、新しいビジネスの立ち上げ方
4回目は、蛍池と大阪市内で味噌ラーメン専門店を経営する齋藤光典さんに、新しいビジネスの立ち上げ方をお聞きしました。
「わくわくするか」「考える時間を大切にする」「企画書を作ってみる」など、少し意識することと継続することが、新しいビジネスへのトライに繋がるのかも。企画書を作ることは、アイデアを客観的にみてもらう機会にもなりそうです。
Vol.5 これからの、お客さんとのつながり方
5回目のゲストは、株式会社トリ風土研究所の宮武祐右さん。
お客さんに自社の強みを伝えていくためには、ほんもののストーリーを伝えているかどうかがポイント。
商品ができた、というのでなく、背景のストーリーをどれだけ語れるかが大事という話でした。
ブランドを作る5つのポイントなど、自社の商品・サービスにぜひ落とし込んでいただきたいと思います。
まとめ
起業・事業をすることは、ギャップを埋めることかもしれません。
「やりたくないこととのギャップ」「理想とのギャップ」「顧客とのギャップ」です。
やりたくないことを明らかにすれば、やりたいことが明確になるはずです。
起業したいと思っていた自分と、今の姿、理想とのギャップがあるなら、それを埋めるために何をするのかを考える。日々の積み重ねしかないと思います。
ビジネスとはお客さんの課題解決です。
自社の商品やサービスが、お客さんのどんな困りごとを解決するのかを考える。これが、お客さんとのギャップを埋めることになると思います。
「ギャップを埋める」ことを意識して、さらに飛躍していただければと思います。
一年間、ありがとうございました。
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